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井口家(いぐちけ)[Iguchike]

所在地
 左京区
 
選定番号
 第8−039号
  


推薦理由(抜粋)
 大正15年(1926),京都パラダイス跡の分譲地に建てられた洋館の住宅。この地域には珍しい洋館で,現在も素敵な姿を見せている。



認定番号
 第172号

認定理由
 井口家は左京区岡崎の地に立地する洋風住宅である。大正後期の数年間,遊園地「京都パラダイス」が開設された場所で,閉園後,短期間に宅地として分譲されたため,現在でも昭和初期の住宅群が当時の面影を残している。井口家は米穀商を営んでいた井口梅三郎が長男の結婚後の新居として建てた建物で,急勾配の屋根にドーマー窓を設ける外観は,長男・誠一氏がドイツに留学した際に持ち帰った建築書を参考に設計されたという。建築時の資料から,梅垣庄太郎の設計により,大正15年(1926)に建築されたことが確認される。なお,梅垣は京都市営繕課に勤めた人物と伝わる。
 建物は木造2階建,桟瓦葺である。玄関ホールに面して居室を配するホール型の平面で,1階は応接室,寝室,居間などの洋室,2階には洋室の書斎,客間の他,座敷と次の間からなる和風空間が配されている。また,3階は天井にトラス構造をあらわした屋根裏室となる。戦後にはGHQの接収を受けている。水廻りやリビングなどは近年の改修を受けているが,洋風住宅の構成を残す。
 井口家は,昭和初期の規模の大きな住宅建築である。ドイツ留学時に入手した建築書を参考にしたとされる洋風外観を有する一方,和室空間も採り入れられている。戦後に接収された記憶も伝え,近代京都の住宅文化を今に伝える住宅建築として重要である。



 歴史的風致形成建造物



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