所在地 左京区 |
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選定番号 第8−016号 |
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推薦理由(抜粋) 彫刻家 松田尚之のアトリエ兼自邸。松田自身が設計し,昭和11年(1936)に建てられた。 天井の高いアトリエは,死の2週間前まで弟子とともに厳しい研鑽を重ねた場で,現在も往時の雰囲気を残し,音楽ホールやピアノ教室の場として活用されている。 認定番号
第186号 認定理由 松田尚之(1898〜1995)は,富山市に生まれ,東京美術学校彫刻科で朝倉文夫の指導を受けた。卒業後には,彫刻家・武石弘三郎に石彫を学んでいる。昭和5年(1930)には京都帝国大学建築学科の講師に委嘱され,京都に転居し,同7年には川端彌之助らと創作家協会を設立するなどの活動をした。昭和13年(1938),修学院の地に自宅兼アトリエを建築したのが,現在の建物である。山田工務店の設計施工によるものと確認される。松田は師の朝倉が台東区谷中に建てた住宅兼アトリエに触発され,自らのアトリエの参考にしたと伝わっている。 建物は木造2階建てで,アトリエ部分は2層分の高さを吹き抜けとしている。南北の通りに面して西側に玄関を設けている。玄関ホールの奥に応接間を配し,ホールの北側にアトリエ,南側に向かうと南北方向に中廊下を配した生活空間となっている。アトリエはキングポスト・トラスをあらわし,2層分の高さを吹抜けとして,天井高を確保している。北側には天井面まで届く大きな窓を設け,北側採光を図る。アトリエ室の西側には次室があり,部屋境の上部には引き戸を嵌めたギャラリー状の空間が設けられている。床はフローリングで,一部分には製作用の粘土を貯蔵しておくための地下を設けている。玄関廻りには昭和初期に流行した装飾タイルである「泰山タイル」が用いられ,意匠にアクセントを加えている。 松田家は,昭和期に活躍した彫刻家のアトリエ兼住宅を残し,京都の美術史の舞台を伝える重要な建物である。高い天井と北側採光を意図した良質なアトリエ空間の事例としても高く評価される。 |
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