所在地 右京区 |
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選定番号 第9−044号 |
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推薦理由(抜粋) 書院造の和館,数寄屋意匠の離れ,スパニッシュ風外観の洋館と広い庭園を有する邸宅。昭和初期における大規模で良質な建築として重要である。 認定番号
第232号 認定理由 旧鳴滝寮は、景勝地でもある双ケ丘の西側地域、宇多野御屋敷町に所在する。京都電燈株式会社の重役などをつとめた財界人・大渡光蔵の邸宅として建てられた。棟札が残り、設計・上野工務店、請負人・津田音次郎、大工・岡本梅吉により、昭和14年(1939)に上棟したことが判明する。昭和29年(1954)に京都市交通局が入手し、平成28年(2016)まで同機関の保養施設「鳴滝寮」として使用された。 通りに面して粗石積の上に生垣をまわし、袖塀付きの木造の門を設ける。約千坪の広大な敷地には、和館、洋館、離れなどの建物が残る。和館は木造2階建で、東側に配された玄関車寄を入ると、西側に向かって長い廊下が延びる。廊下の南側には12畳半の座敷など4室の和室が田の字型に並ぶ接客空間が設けられる。4室は襖によって仕切られるが、建具を外すと40畳の大空間となる。主座敷の床柱にヒノキの角材を用い、長押をまわなど、全体として書院造の意匠である。同部分の2階にも和室4室が配される。座敷の奥には茶室と水屋、さらに進むと和室2室からなる離れに至る。一部に網代天井を用いるなど数寄屋意匠を用いている。一方、玄関部分から北へ廊下を進むと、厨房や浴室等からなる平屋建ての内向きの空間となる。玄関部分南側には木造2階建ての洋館が建つ。スペイン瓦とスタッコ壁を用い、2階の東・南面にはアーチ窓を並べるスパニッシュの外観である。洋館部分にも玄関が設けられ、1、2階とも2室からなる。和館、洋館の南側には広い庭を配する。芝生を主体とするが、南端には大きな石を用いた築山を設ける。その周囲は拳大の石を用いて枯れ山水で流れを表現し立石を配する。 旧鳴滝寮は和館の北側に内向き空間、南側に書院造の接客空間、奥に数寄屋造の座敷を配し、さらに洋館を接続する構成を取っている。接客空間に面しては芝生と築山による庭園を配する。明治期以来の和洋併置式の系譜を継承しつつ、昭和初期に景勝地に建てられた大規模かつ良質な邸宅建築として貴重である。 |
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