所在地 下京区 |
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選定番号 第10−054号 |
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推薦理由(抜粋) 大正末期に建てられた3階建て鉄筋コンクリート造の小さな商業ビル。河原町通の市電建設に伴う道路拡幅のために土地の大半が買収されたことを契機に建設したビルは,昭和の激動期を乗り越え,建設当時の姿をとどめている。 認定番号
第225号 認定理由 池善ビルは、四条河原町交差点の南西角に建つ商業ビルである。名称の由来となった所有者・井上家の先祖「池田屋善兵衛」は、元岡山藩士の冑鎧師で、慶長年間の記録には「駕輿丁(かよちょう)仲間」として記載されている。駕輿丁とは帯刀し、天皇が行幸時には輪番で警護に当たる役目のことである。明治3年(1870)の絵図では、現在のビルの敷地は四条通に面した井上善兵衛所有する借家があったことが分かる。建物は大正13年(1924)の河原町通りの拡幅に際して建築されたとされ、同15年(1926)の古写真にはその外観を確認できる。建築後、準備期間を経た昭和5年(1930)、北側部分の1階を用いて池善化粧品を創業し、店舗の2〜3階は井上家の住居として用いられた。ビルの中央及び南側部分は、当初から他の店舗に賃貸していた。池善化粧品は戦後、たばこやライター、傘など取り扱い商品を拡大させて存続したが、令和2年(2020)に閉店した。現在は各種店舗が入居するテナントビルとして活用されている。 建物は鉄筋コンクリート造、3階建で、交差点南東の隅切り部分から河原町通に面した台形の形状を有する。北、中央、南の3区画に分かれ、それぞれ階上への階段が設けられている。元々2〜3階は居住空間や倉庫に使用された。昭和初期の写真では、池善化粧品の入口部分にはショーウィンドウが設けられ、その南側部分には建具が嵌められているが、現在は全面が開放された外観となっている。階上部分は縦長窓を連続させる外観で、当初は2、3階間の壁面にメダイオン状の装飾が付けられていた。改修に失われた装飾部分もあるが、現在でも1階の内法上部には装飾タイルを確認することができる。 大正末期に河原町通の拡幅に際して建築された商業ビルで、現在でも京都の主要な繁華街である四条河原町交差点にその姿を継承している。繁華街に立地する大正から昭和初期の商業ビルが現存する事例は少なく貴重である。界わいの歴史を伝えるランドマークとしても重要である。 |
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